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従業員満足度に関する一考

従業員一人ひとりが自らの事業に対する当事者意識をもち、判断する力を築き上げる。これは、従業員満足度を高めるうえで非常に重要であり、また新しい考え方を積極的に取り込む企業風土を醸成し、市場の変化に対応する力にもつながる。

  

会社命令と従業員満足度

 サラリーマンだから企業の命令は絶対。偏見かもしれないが、高齢のベテラン社員や幹部であればあるほどこういったマインドを持っているように感じる。それは、彼ら自身が過去に、自分の意に反する異動や命令を経験してきたからと推測する。このため、若手社員・中堅社員に対して同じことを繰り返し、いつの間にか会社の命令なしでは動けない組織人を生み出してしまうのではないか。

 

 HBRに記載の通り、命令に従うだけの働き手が望ましいか再考しなければならない。人事管理という観点からは、急な異動に対応してくれる都合の良い存在なのかもしれないが、企業の成長を牽引する創造的なパワーを生み出す人材にはなりえないはず。

 

 企業の方向性や事業戦略を理解し自分自身に落とし込む。そして、実現性や困難具合を勘案しながら上長と相談のうえ、自分で課題を設定し、達成をコミットし実現する。組織人としてのあるべき姿だが、これには一方的な命令ではなく双方向からの充実した対話からでしか導き出せない。ここで、当事者意識の醸成へと話がつながる。

 

 ここで事例を紹介したい。中小企業白書では、中小企業のベストプラクティスが各章に掲載されているが、この中で2016年度版「日本電鍍工業株式会社(事例2-6-10)」が印象的だ。こちらでは、「従業員満足度を高めることこそが、会社を成長に導く」という社長の強い想いから、①従業員の教育の強化、②リーダー層の育成に注力されている。ハーズバーグのモチベーション理論の中の、動機づけ要因へのアプローチをされており、仕事そのものへの達成意欲や人間として成長したいという心理的欲求へのアプローチである。これにより、会社が永続的に存在するための基盤を構築されている。

 

 これだけに留まらない。従業員の意識を改革し、さらには新たな事業に進出し事業拡大に成功している点に注目されたい。当事者意識の醸成により、組織内部の活性化を実現し既存の枠組みに捕らわれない、新しい取り組みを積極的に取り入れた結果である。

 

 このような成功事例を肝に銘じる必要がある。過去の延長線上で考えることは必ずしも悪ということではないが、企業を成長させるパワーを生み出すことにはなりえない。

 

  参照元は、ハーバードビジネスレビュー編集長ブログ「会社の命令より、自分の意思を優先させよ(2017.3.18)」。 

 原文はこちらから⇒http://www.dhbr.net/articles/-/4741